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深爪 |
夜に爪を切ると親の死に目に会えないって、ほんとう? |
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幻蛍 |
季節外れの蛍が乱舞する、山深い別荘地でのできごと |
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祖母の忘れ物 |
祖母からの最初で最後のメッセージは、涙がでるほどに稚拙 |
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南向きの家 |
赤ん坊が動くたび、乳臭い匂いが流れた。 |
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後ろ姿 |
母が見えなくなっても、私はまだ改札口を見続けていた。霧雨 |
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福神駅 |
私はストレスに押し潰されそうになると、電車に乗る |
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水辺の光景 1 |
医者から歩くことをすすめられた。幸い家の近くには大和川が |
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水辺の光景 2 |
大和川の土手に春が来た。蓬がふかふかと、まるで緑の絨毯 |
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水辺の光景 3 |
見える魚は釣れないと、少年は私に教えてくれた |
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異星人 |
ケンタウル座にある惑星に地球からの探査機が |
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たちばな通り商店街 |
源三さんは無口だが、腕のよい職人だ |
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幻の六大寺 |
私が肉体を持たない存在となって千数百年… |
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最後の審判 |
だめだよ、お姉ちゃん。お姉ちゃんは清く正しく死ななきゃ駄目だよ |
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母の指 |
母の指はいつも真っ赤に染まっていた。洗っても洗っても…… |
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父の外出 一 |
煙草はピース、ライターは持ち重りのするジッポ |
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父の外出 二 |
女の子は可愛げのあるのが一番やで、これは勉強より大事なこと |
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どうでもいい話 |
はなさか爺さんの犬の名前、「しろ」それとも「ポチ」? |
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永遠の寝室 |
この星では人間は例外なく100歳まで生きる…… |
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鶏頭 |
心根はいうまでもないけれど、女はミバも大事だよ |
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北摂レイン |
私のせいじゃないわ、このあたりはよく雨が降るのよ…… |
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音 |
会話の間の小さな沈黙。これを天使が通ると呼ぶそうだ |
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五月の陽射しの |
母が逝った。私にありがとうも言わせずに逝った |
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近況報告 |
人は自分に合った言葉と出合い、甦るのだろう |
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赤ずきん |
おじいちゃんは狼のように、ムシャムシャと赤ずきんちゃんを |
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シンデレラ |
赤ずきんちゃんの次は、やはりシンデレラ |
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天使と出会った |
幼児は手にしていた白いミニカーを老人にわたし、右手を口に |
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涙形の |
海辺のリゾートホテルで涙形のペンダントを失くした |
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猫坂の女 |
猫が背を丸めて眠っているようなS字形の坂がある |
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四月三日 |
桜の見えない年でも、決まって四月三日は花見の日だった |
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甘えない犬 |
甘えない犬だった。雑種としての分をわきまえた犬だった |
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いとしの黄身 |
好きなおでん種は……、子供がえりだろうか |
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野迫川レポート |
無名だった村がいちやく有名になった。せきとめ湖…… |
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大盤ぶるまい |
両手に抱えきれないほどの菊の花を持って、会いにいく |
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メトレス |
私はサクラを繋いでいる鎖から手を離したくなった |
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お正月 |
延々と続いている私だけの正月行事がある |
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湖底の家 |
驚いた? 私達の家はダムの底に沈んでしまったの |
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デビュー |
念願のデビューを果たした。その日私は18歳になった |
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麗しの骨 |
真っ直ぐな背骨、まあるい頭部。まあ可愛い…… |
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忘れないでね |
今年は狂ったように椿がさいた。桃色の白色の |
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有難う |
この2週間の間に、大事な人を2人なくした |
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妙なものが |
ジャガイモに変な実がなった。ミニトマトのような |
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もう寂しくない |
バクテリアだった、藻だった、魚だった。すっかり忘れていた |
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羽虫が飛ぶから |
お母ちゃん、犬の鼻がぬれてるよ、風邪をひいているんだね |
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わたし |
私のなかには他人が住んでいる 2×世紀の医療とは |
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お迎え |
お迎え現象なるものが、取りざたされている。何をいまさら |
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奇病にかかった |
今年の夏、それは突然にやって来て、私は戸惑っている。 |
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奇病がなおった |
突然襲った奇病は、突然去った。何の前触れもなくである |
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今年の出来事 |
たった3つなのに、鮮明な記憶が思い浮かばない、困った。 |
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はしご |
欲どおしくも初詣のはしごをした。名前に惹かれて夜都技神社 |
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あびこさん |
節分に、霊験あらたかなあびこさんで厄落とし |
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心がざわつくとき |
突然にでてくるんだもんなあ……涙なしには読めないよ |
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うちの椿 |
もうちょっと椿らしく落ちられないの。椿はもののふ |
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河童 |
仄かに爽やかな香りが漂って、私は河童になった |
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残暑お見舞申し |
ビール美味しく飲めていますか? この夏きまってこう聞かれた |
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やなせたかし様 |
アンパンマンで有名になる、もっともっと昔から大好きだった |
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よいお年を |
一夜飾りは縁起が悪いと30日の夜に飾った。……のに |
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石の記憶 |
石の標本を買った。何の役にも立たないものが大好きだ |
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狐 |
狐の顔にも意地悪そうなのや、無表情なのや、美形がいて |
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流行の先端 |
といってもファッションの話ではないのです。最近、私は |
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続・親指 |
そうだ、昔、お父さんは一番偉かったんだ! 忘れていた |
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悲劇の遣唐留学生 |
誰もが知らなかった遣唐留学生 井真成 |
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私の愛した遊園地 |
玉手山遊園・枚方菊人形 思い出がいっぱいつまっているのに |
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河内ブランドの女 |
かのプレーボーイ在原業平が、通いつめた女は河内ブランドの女 |
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二人の姫君 |
鉢かづき姫や織姫は河内の生まれです |
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源氏とワイン |
葡萄畑のなかに眠る義経の先祖たち |
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河内弁と今東光と悪名 |
おんどれ 何ぬかしてけつかんねん! |
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東海道57次とごんぼ汁 |
東海道は53次ではないのです。枚方宿に守口宿… |
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恋の辻占 |
牡羊座 水星人- 亥年 O型 八白土星 私の運勢は? |
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少年達の夏 |
夏休みになると男の子たちは大峰山に登ったが、女の子達は… |
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風林火山と勘助うちわ |
大河ドラマとわが町の意外な関係 |
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えんどう豆をむいている |
中トロのお刺身も河豚も、霜降りのお肉もおいしいけれど、一番は |
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浅見光彦探偵出番です |
楠木正成と観阿弥は叔父さんと甥の関係って、ご存知でした? |
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河内の酒蔵 |
天野酒・大門酒造、そして「いのまなり」 |
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山麓の墓地 |
離婚した母には入る墓がない。そこで、きゅうきょ墓地探しを |
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お染・久松 |
お染は恋をし、お光は久松を愛したのだ |
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私と盆踊り |
不良少女だった。と言ってもタチの悪い不良ではない |
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隠れ切支丹の里 |
ひょうきんな河内の神々に比べ、キリスト教は清浄で… |
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おかいさん |
河内の人たちは粥を「おかいさん」と親しみをこめて呼ぶ |
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鄙に稀な |
1年に1度だけの特別な日、それは4月18日 |
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中河地郡三宅村 |
裏道は墓地に続く陰気な道だった…… |
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オクラの花 |
オクラ・ハイビスカス・槿、そして綿の花 |
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目・歯・でんぼの神様 |
病院が怖い、それはもう重症を通り越して病気 |
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高安山ケーブル |
天上への光の橋階段、高安山を飾るネックレス…… |
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鬼門の街 |
鬼が集るという鬼門の地が、いまや企業城下街 |
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橋をわたる |
長い間トラウマで渡れない橋があった。父へと繋がる橋 |
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グリコ |
久しぶりにグリコの飴が食べたくなった。おまけは何だろう? |
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実録 楠木正成 |
お前は赤坂へ去ね。いんで河内の地を守れ、ええな |
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北緯の旅 |
日本最北端と最南端の駅におりたった。乗り鉄としては…… |
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私と弟 |
そうやねん、気にしてるねん。なんや顔の相が悪なったなあって |
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怪僧と呼ばれた男 |
なんと八尾には平城京に対しての西の京があった |
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葉山神社 |
母の名字は葉山、葉山神社があるという |
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五右衛門 |
退屈な一日、五右衛門を占ってみれば、意外な結果が…… |
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水棲生物  |
琵琶湖には花見をする風流な魚がいる。深海魚だ |