川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                              2013年


     自身のホームページを、しげしげ眺めて驚いた。
     「これって、あかんやろ! 1年で更新したのがたったの10回」
     1か月に1回も書くことがなかったわけ?
     それは……、いえいえ言い訳はいたしますまい。
     来年からは心を入れ替えますので、これからも「話のポケット」を、ご贔屓にお願いいたします。
     とうわけで、今年の締めくくりを。

     今日は31日、窓から眺める景色は穏やかだ。
     だが、理由のわからない違和感がある。
     ベランダに出て、2階から辺りを見回した。
     しばらく眺めているうち、違和感の正体がわかった。

     大晦日特有のざわつきがないのだ。
     冬休みだというのに、子供達の声がしない。大人たちも忙しく立ち働いていない。
     以前はもっとゴチャゴチャしていたのに。
     それにしても静かだ。それに、なんだか忘れ物をしているような、物足りなさを感じる。
     「あっ!」。家々の玄関先を見て気がついた。
     注連縄が飾られていないのだ。 どの家にも注連縄がない。
     
     30年前、私の住む住宅街は子供たちの声で賑やかだった。
     だが今や老人の町になってしまった。
     玄関の高い位置に、注連縄を飾るのは無理なのだろうか?
     それとも他に理由があるのだろうか?
     
     晴れの日と普段の日の区別がなくなるというのは、なんだかつまらないなあ。
     変なところ、しきたり大好き人間の私は、そう思うのである。
     現に一夜飾りは縁起が悪いと、30日の夜に夫に注連縄を飾ってもらった。

     大晦日の注連縄は新年を迎えるべく、神聖な佇まいの筈だ。
     もう神様がそこまでお越しかもしれない。
     いそいそと私はべランダを下り庭先に出た。
     ヒエー! きっと神様は回れ右をされたに違いない。
     なんと橙も裏白も、ビニールに包まれたままだった。 
     
     2014年も皆様にとりまして良いお年でありますように!