川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                  盂蘭盆会


   母のお墓は太子町の叡福寺にある。
   叡福寺は聖徳太子の御廟所だ。
   墓は太子の御廟の後方にあり、この世で言えば、回覧板が回る近さである。
   (お暇な方は、河内再発見の「山麓の墓地」をお読みください)

   毎年お盆には、金堂内で行われる、盂蘭盆会先祖供養にお参りをする。

   ご本尊の如意輪観音の前で、ご住職が1家族ずつに経を唱えて下さる。
   堂内は読経の声とお香が漂い、時おり涼しい風が流れて、まさに束の間の浄土である。

   経の後は、亡くなった人へ食事と水をお供えする、作法がある。
   戒名を書いたヘギの上に洗い米と小豆をのせ、木の葉で水滴をヘギに振りかける。
   「お母ちゃん、ご飯大好きやろ、一杯食べや。喉も乾いたやろ、お水も一杯飲みや」
   私は生者と死者をつなぐ、この仏事が好きである。

   帰りには如来さまの清らかな願いのこもった、五如来の旗をいただけるのも有難い。
   私はこの旗を母の遺影の傍に飾っている。
   
   施餓鬼法要の日は、指先につけた塗香が微かに残り、1日中香るのである。


                 

 叡福寺金堂                             五如来旗

                                   2018.8.13