川上恵(沙羅けい)の芸術村 | ||||||||
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もう、すべらせない!! 奈良と大阪の県境にある「亀の瀬」は、4万年も前から地すべりが繰り返されてきた 難所である。古代より都への西の玄関口として知られ、亀の瀬を越える山間の道、 「龍田古道・亀の瀬」として日本遺産に認定されている。 明治25年この地に、大阪鉄道亀瀬隧道が開通した。 ところが昭和6、7年の地滑りで圧壊し、その存在は幻となっていたが、なんと80年後の 平成20年に隧道の1部が発見された。 奇跡的に残ったトンネルは当時の様子を伝えるべく、対策工事がなされ、現在、 一般公開されている。 隧道内で行われているマッピングの見学に参加した。 私が首にかけた番号札は「1」。意気込みのほどが分かるというものだ。 薄暗い中を先頭で歩く。トンネル内は美しいレンガ積みだ。 トンネルの突き当りには当時の地すべりの崩落面が、生々しく残っている。 係り員の説明が始まった。壁面に光が走った。マッピングの始まりだ。 色とりどりの光がトンネル内を走り、グルグル回転し、そのスピードたるや……。 「あかん、めまいが!」、私は下を向き横目で眺める始末だ。 トンネル内に桜が咲いて、貴人が白馬に乗っていて、列車めいたものが走っていて…… と、チラチラとしか映像が見られない。 肝心の写真は1枚も撮れなかった。 当日は小雨模様だったが新緑が綺麗だった。 隧道脇の龍王社は葛城修験、最後の経塚だと知り、ここぞとばかり写真に収めた。 ところがである。 祠を正面から撮ると災いが振りかかるという、都市伝説があると聞き、写真を消去したのは 言うまでもない。なんとも人騒がせな話である。 それにしても、「もう、すべらせない!!」 というキャッチコピーは最高だな。 亀の瀬はロマンに満ちた渓谷だ。 2023.4.30 |