川上恵(沙羅けい)の芸術村
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            我が家の夕食



    夏の夕食の条件は3つある。

    1つはビールに合う事。
    2つ目は畑で取れた野菜を、新鮮なうちに食卓にのせる事。
    3つ目は手早く出来る事。

    茄子やオクラ、ピーマンや玉ねぎのフライの美味しいこと。
    きつね色に揚がった衣の中の茄子の、なんとトローリとしていることか。
    口の中いっぱいに広がるオクラの美味しい粘り、ピーマンのほろ苦さ。パン粉の食感。
    そしてエビとイカ。
 
    だが最近は、牛カツにはまっている。
    ちょっとワサビをつけて食べる牛カツの、飽きのこない品の良さ。
    気に入るとそればかり食べる癖のある私は、今夜もエビやイカではなく牛にした。


    煙をあげて焼く焼き肉は、ビールに最高だ。
    ピーマンは丸のまま網にのせる。しばらくするとピーマンはぷっくりとまあるく膨らんで、
    焦げ色が付いてくる。食べごろだ。丸のままタレにつけて食す。
    茄子もオクラも玉ねぎもニンニクも、ある野菜はみんな焼く。
    暑い最中に夫が作った野菜だ。無駄にするのは申し訳ない。

    ロース・バラ・ハラミ・ミノ・そして健康のためにレバー。
    サラダは、鉢に山盛りのプチトマト。
    残った肉は翌日のカレーに使うので、無理に食べきることはない。

    換気扇を回しても家の中は煙っている。油の粒子がそこここに飛び散り舞っている。
    そして、台所から流れ出した濃い匂いは、客間の茶箪笥やカーテンの後ろ側に忍んでいて、
    2、3日は残るのである。
    「まあ仕方がないか。美味しいものと引き換えだもの」

    但し、揚げ物や焼き肉の日は、糖質75%オフの偽物ビールを飲んでいる。
    油物の多い夏場は、偽物ビールを飲む日が多い。
    
    それでも野菜が、冷蔵庫の野菜室にたまり出したら、カレーの出番だ。
    ある野菜を全部、鍋に放り込んでぐつぐつと煮る。
    いったい何種類の野菜が入っているのやら。おかげで野菜室はすっきりとする。
    都合のいいことに、カレーはいよいよ味に深みを加えるのである。夏野菜カレーだ。
    ちなみに、この日のビールは本物ビールである。

    これって手抜き料理かなあ?
    

                   2019.8.29