川上恵(沙羅けい)の芸術村 | |||||||||||||||
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冬の宇治 家人の病気や私の体調不良で、のびのびになっていたビッグイベントを実行できた。 私の誕生祝いの、息子とのドライブ&食事会である。 毎年、私の1番行きたいところに、車を走らせて貰う至福の日だ。 葛井寺の来迎25菩薩を間近に拝してから、優美な来迎仏の虜になった。 手に持った楽器や法具の可愛いこと、微笑みを浮かべた面差し、捻った柔らかな姿態……。 好きになったら、とことん好きになる困った性格の私だ。 久し振りに、ゆっくりと、平等院の雲中供養菩薩像を見たくなった。 雲中供養菩薩像は1053年の鳳凰堂建立と同時期に安置されたそうだ。 堂内の小壁に配される菩薩の群像は52躰おわす。 花のような雲に乗ってストールをなびかせながら、叉ある菩薩は楽器を奏でながら、 舞いながら……なんと美しく華やいだ光景だろう。 西方浄土からの優しい使者たち。あの世への夢のような楽しい道中。 あっ、でもでも、まだ私を迎えに来ないでよ! ずーっと、ずーっと、先にしてね。 白いものがチラチラと空から落ちてきた。初雪だ。 どんなに晴れていても、この日は必ず雨が降る。毎年の不思議なお約束事。 私は顔を天に向けて、幸せな1日に感謝をする。 粉雪が舞って、平等院はいよいよ清らかな世界になった。 「ここは萬福寺だよね?」 平等院のあと、誘われるように向かった萬福寺は、禅寺に不釣り合いな鮮やかな 色彩に包まれていた。 黄檗宗祖隠元禅師の350回忌を迎え、ランタンフェスティバルが行われているのだ。 目もくらむような色彩に、大がかりな仕掛けの数々。 南海観音・孫悟空・桃源郷・麒麟や龍・神聖な蓮池や隠元渡来の船……。 とても書きつくせない。まるでディズニーランドかUSJ。 まさに光の祭典。パラダイスは1月31日まで開催されている。 「やっぱり誘われたんだね」。私と息子は禅寺に出現した別世界を堪能した。 1年の締めくくりが出来た、素敵な冬の宇治だった。
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