川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                      辛いなあ



    神戸の病院からの帰りは、堂島川近くのホテルで、遅めの昼食をと決めている。
    清潔だし人は少ないし、車で行くのには都合が良い。

    その日もいつもの日本料理店へ行った。
    客は私達2人だけだ。白い割烹着の店員ばかりが目立つ。
    あまり人数が少なすぎるのも殺風景で落ち着かないなあ。
    
    テーブルを斜めに透明な仕切りがしてある。
    いまや慣れた光景だが、耳の悪い私には高く厚い壁に思える。
    料理を注文し、ビール!
    「済みません、ビール今は駄目なんです」
    「そうでした、そうでした」
    病院疲れの私は、まずビールが飲みたかったのに。残念。

    美味しい料理にお酒がないのは、なんとも間が抜けている感じである。
    「ノンアルコールにしたら?」と夫が言うので、しぶしぶ私も注文をした。
    昔に比べずいぶん美味しくなったと言うが、先入観からだろうか私には少しも美味しく
    感じられない。
    だが夫は美味しそうに飲んでいる。味覚は大丈夫か? 

    美味しい料理には美味しいお酒。早くそんな時が来ないかなあ。

    家に籠っているのも、旅行に出かけなくても我慢できるけれど、外食をして、
    ちまちまと目にも美しく細工された料理を頂くとき、お酒がないのはなんとも辛い。
    白エビやイカを軽くあぶったのが、器に盛られているのに。
    これってお酒のアテだよね。

    早く家に帰って、冷たいビールの飲みなおしをしよう!
    

               2021.9.18