川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
エッセー  旅  たわごと    雑感 出版紹介 
            



                 次はエステかな?



    川上治療院、そう捨てたもんじゃない。
    薬が効いたのか、“かわかみの湯”なのか、足温器なのか、あるいはマッサージ師の
    腕がいいのか、素人療法なのに、頑固な痛みの脊柱管狭窄症がマシになった。
    医師の言葉を思い出す。
    「痛みがやわらいだら、少し歩いてくださいね」
    
    10年ほど前、腰痛を治そうと、ノルディックウォーキングを齧った事がある。
    ウォーキングポールを買ったが、例のごとく、これも長続きしなかった。
    使うのは今でしょ、ということで川原へ出かけた。

    体が覚えていたのか、最初のうちこそぎくしゃくしたが、ポールで支える分足腰の負担が
    軽く、久しぶりの散歩は好調だ。春の日差しが心地いい。
    その時、後ろから、
    「山登りをされているんですか」と、声がした。同年齢ぐらいの男性だ。
    「とんでもない、山登りなんて」。マスク越しのくぐもった声で答えた。
    「いえいえ、分かるんですよ。山登りをする人は、みんなスティックを持っていますから」

    ソーシアルディスタンス。
    この時期、知らない人に喋りかけるか? と距離を取りながらも、逆立ちしてもなれない
    山女に間違われて、ちょっとニンマリした。

    残念ながら私は腰痛のリハビリ用です!

    ポールを握りながら、思いついた。
    鏡を見るのも嫌なくらいボロボロの顔をしているから、次は「エステ kawakami」を
    開業しようか。
    幸い、むかーし昔に美顔器を買ってある。これも使わずじまいだ。
    自粛が終わるころには、ピッカピッカになっているかもしれないなあ。
   
    ここにきて、廃品同様だった器具が甦るのは、なんともお茶目である。
    買っておくもんだなあ……。
    
    
    
                  2020.4.23