川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                 届きました!



    民さんのパン焼き機、「タミパン」が届きました。
    南部鉄の可愛い器具、いうなれば煙突つきのダッチオープンです。
    真っ黒で、小さいのに持ち重りがします。
    
    私が覚えているのは、銀色で、大きさも届いたものよりずいぶん大きいものです。
    1470年代、戦争後に使われなくなった航空機用のジュラルミンで作られたそうです。
    珍しい物好き、新しいもの好きの母は、料理下手なのに、時代の先端の調理器具を
    買ったのです。
    なんとそれは、民さんが使ったものと同じものです。

    民さんは大正4年、宮城県の生まれです。
    終戦後子供たちに美味しいものを食べさせたいと、パンづくりに励んだそうです。
    民さんの子供たちは目を輝かせながら、パンが焼き上がるのを待ったそうです。
    なのに母といったら、菱餅を作るつもりでパンとも団子ともしれない妙なものを
    焼いたのです。
    子供を思う気持ちは民さんと同じなのに、以来、煙突つきの鍋は焼きいも専用になりました。

    でも、どうして料理下手の母が、この鍋を買おうと思ったのでしょう。
    これを使うと、当時でいうハイカラな料理が作れると思ったのでしょうか。謎です。

    夫婦2人になって、
    餅つき機もパン焼き器も捨てたのに、またパン焼き器を買ってしまいました。
    この煙突の中には、母との思い出が詰まっています。幼い日の私がいます。
    さっそく午後からパンを焼いてみましょう。
    
    復刻された南部鉄器の煙突付き鍋は、「タミパンクラシック」として、
    現在も作り続けられています。


                      22020.3.13