川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                     小さな庭に



    桜桃の花のあとに小さな実がつきだした。
    サクランボだ。 小ぶりな木に、それはいくつもいくつも。
    花も可憐だが、待ち針の頭ほどの実は健気に可愛い。
    それに新緑の若葉の清らかに美しいこと。
    年々、新緑に惹かれる私がいる。

    植木鉢のギボウシも、鈴蘭も、鳴子ユリも、紫蘭も芽が出だした。
    小さな庭に小さな新緑と、小さな芽吹き。

    私はサクランボの下で深呼吸をする。
    想像力豊かな私は森林の中で深呼吸をしている気分になる。
    フィトンチッドが満ち満ちている、気分になる。
    とくな性格だなあ……。
    でも確かに室内よりは空気が美味しいのだ。
    

  

             2022.4.4