川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                   種団子  5



    急に寒くなった。
    種団子から発芽し、花を咲かせ続けた百日草がいよいよ終わりである。
    「長い間、楽しませてくれて有難う。ほんとうにご苦労さま」
    私は最後の枯れかけた一輪に声をかける。

    6月に種団子をプランターに埋め、7月から臙脂・柿色・黄色・桃色・ベージュ色の花が
    咲き出し、11月に入っても、まだ小さなおはじきのような花を咲かせていた。
    そして今日、11月26日、最後の一輪も枯れてきた。
    
    百日草は健気な花だった。
    百日どころか優に4か月は咲き続けた。切り花は遺影の母を楽しませた。
    野性的でどこかエレガントだった。

    さて、枯れた百日草の後始末である。
    種団子のプランターはそのままにしておくらしい。
    種が落ち、また来年も咲くという。

    よく見ると枯れた百日草の根元に、1センチにも満たない赤紫の千日紅が咲いていた。
    ポチリと小さな灯りがともっているみたいだ。


2024.11.24