川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                  種団子 4



    名前に偽りなし、だったね。
    本当に名前の通り100日咲いたね。
    百日草って正直な花だ。

    種団子としてプランターに植えたのが6月の中頃。小さな花をつけたのが7月の20日すぎ。
    そして今日は11月1日だ。
    
    百日草は重宝な花だった。
    桃色や柿色や黄色の色とりどりの花を咲かせた。
    私は花が咲くたびに、切り花にして母の遺影に飾ってあげた。
    花は次々と咲いた。健気なほど咲いた。
    おかげでこの夏は、遺影に供える花を、いつもほどは買わずにすんだ。
    百日草は今年の暑さをものともしないかった。
    花をよくよく見れば、なんとも可憐で健康的な美しさだ。
    葉や茎は少しザラザラとした感触だが、それも野性味があるようで逞しい。

    そして、
    プランターにも秋が来た。プランターは寂しくなってきた。
    いま花形のおはじきのような小さな花が咲いている。
    一センチほどの花冠である。

    ジニアという呼び名より、やっぱり貴女は百日草の方が素敵だよ。


2024.11.1