川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                    種団子



    園芸家に種団子の作り方を教わった。
    なんでも東日本大震災の後から広まった植え方だと言う。
    大人はもちろん、子供でも泥団子を作る要領で、楽しんで作り、植えられるそうだ。

    作り方は簡単だ。
    肥料や土壌改良剤が入った土で泥団子を作り、団子の表面にさまざまな草花の種をまぶして
    植える。たった、これだけである。
    私は春まき用の、小さな種団子を10個ばかり作った。
    草花の種は、コスモス・ジニア・センニチソウ・ハゲイトウ・マリーゴールドなどである。
    可憐な花ばかりだ。
    秋まき用には、リナリア・セント―レア、カスミソウ・ネモフィラ・エスコルチアなどが
    適しているらしい。

    うん? カタカナの花ばかり? 
    首を傾げていると、今は学名で呼ぶことが多いのです、と園芸家はおっしゃった。
    ちなみに、ジニアは百日草、リナリアは金魚草、セント―レアは矢車菊という具合である。
    なんだかなあ……。和名は花の形がイメージできて素敵なのに。情緒があるのに。

    種団子は発芽して狭苦しいほどに育ってきても、間引かないそうだ。
    芽が出たものはすべて育てる。この精神は大賛成である。

    我が家の種団子は発芽し始めた。はてさて、どんな花々が咲き乱れるのだろう。
    百花繚乱のさまを見てみたいものだ。
    そういえば、百花繚乱などという言葉を初めて使ったなあ……。

    微かな風にも揺れる、小さな大量の花々が待ち遠しい。

    
2024.6.14