川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                 収穫



    今日は梅雨の合間の、貴重な好天だ。
    雨続きで滞っていた畑仕事に追われている。それも収穫に。

    今年はなぜか鳥の訪問が多くて、豌豆の苗を食べられた。
    植えては食べられ植えては食べられをくり返したせいで、実がなるのが遅かった。
    周囲の畑はとっくに収穫をしているのに、我が家はやっと花が咲くという有様だった。
    そして、ようやく今、収穫である。エンドウが残っているのは我が畑だけだ。
    少しの肩身の狭さを感じつつ、エンドウ豆大好き人間の私は、せっせと収穫する。

    雨続きなので腐ってはいけないと、予定より少し早目に玉ねぎを収穫した。
    畑で乾かして夕方、家に持って帰ろう。
    その他にも、知人から種を貰ったサラダ菜が食べ時だ。
    普通は種から育てるなど面倒な事はしないのだが、貰ったものは育てねばなるまい。
    黄緑色の柔らかな葉がフリルのように、畝を飾っている。
    
    畑を始めたきっかけは、10年以上も昔になるだろうか。
    夫が脳内出血を起こした。知り合いが「土を触ると健康にいいよ」と教えてくれた。
    さっそく農園を借り、夫は耕し係り、私は管理係りと、役割を決めた。
    もっともキュウリや茄子、トマトなどの夏野菜の収穫は夫の仕事だ。
    暑さは苦手だ。

    収穫した野菜の山を見ながら、土を触るうんぬんよりも、毎日多くの野菜を食べるのが
    健康につながるのだなと得心がいった。
    沢山の収穫は嬉しいが、食べるのが一仕事である。

    ご近所に貰っていただくのも、毎度毎度では申し訳なく、息子や弟には他のお土産付きで
    野菜を届ける始末である。


 

               2021.5.23