川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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               ご褒美かな、それとも



    「わあ、ご褒美! 神様からのご褒美だ!」

    私は椿が大好きだ。
    狭い庭には3本の椿の木がある。鉢植えも1つ。
    なのに20センチにも満たない苗木のような椿が、白い花を咲かせたのだ。
    他の椿には沢山の蕾はついているものの、蕾はまだ固い。
    どうして、どうして?  細いマッチ棒のような幹(?)なのに。 

    でも、神様からのご褒美のはずはないなあ。
    夫には意地悪をしたし、知人のくどくどとした愚痴を聞くのに疲れて、電話を切るタイミング
    ばかり考えて、話は上の空だったし、
    仲間からの相談には、ついつい本音で厳しい意見を言ってしまったし。
    
    正しいことを言う時は、相手を傷つけやすいと知っているのに……。

    じゃあ神様からのご褒美じゃなかったら、この白椿はなぜ咲いたのだろう。
    ひょっとして彼女かな?
    我が家の狭い庭を見たいと言っていた彼女が、白い花になって来たのかなあ?
    
    風の強い朝、華奢な椿を私は家の中に入れてやった。
    

 2021.11.30