川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                石油ストーブ



    「まだ、そんなストーブ使ってるん?」

    台所に入るなり、弟は一世代前の遺物を見るようにいいながらも、 
    早々にストーブの前に座った。
    「うん、エアコンでは何だか物足りない気がして。やっぱり火が見えると暖かいなあ、って」
    とは言っても、北向きの私の部屋は、ほぼ一日中エアコンがついているのだが。

    石油ストーブは、優れモノだ。
    いっぱいの蒸気で部屋をうるおし、コトコトとおでんやシチューを煮込み、さらには
    焼きいもである。
    焼きたてホカホカの「紅こがね」は、ほくほくと美味しいことこの上ない。


    知り合いの話だ。
    石油ストーブは危ないからと、子供たちから使用を禁止されているという。
    その人はしっかりされた人なのに、
    老年になると、そういうことも言われるのか……寂しい話だな。
    
    息子よ、私たちからストーブを取り上げないでくれて、有難う。
    お嫁ちゃんよ、美味しいさつま芋を有難う。
    

2025.3.5