川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                    サプライズの贈り物



    狭い庭に桃色、白、そして赤い椿を植えている。
    桃色はシベが豊かで、花弁の内側に小さなチロチロとした花弁が付いていて華やかだ。
    白は5弁の清楚な侘助だ。
    赤は五島列島の艶やかなヤブ椿である。

    椿は根元に種を落とし、発芽し、小さく育つ。
    発芽したすべてを抜くのも可哀想で、元気そうなのを植木鉢に移してやる。
    そんな植木鉢が4鉢にもなった。
    家人からは、これ以上植木鉢を増やさないで、狭い庭がよけい狭くなると、
    クレームがついている。

    庭木に水をやっていたら、50pばかりの鉢の椿に、白い花が咲いているのにl気づいた。
    よく見ると初めて見る品種だ。
    「えっ、なになに? 突残変異がおこったの? この庭で?」
    桃色のチロチロした花弁のついた椿が、白色に変身しているのだ。
    なんと華やかにして清楚。
    そうか。桃色の横に白の椿が植わっているのだ。昆虫の素敵な計らいだ。

    こんな狭い庭で起こった神秘に私は見とれている。
    この椿に名前をつけたいなあ……。

    今度は白と赤の間から発芽した苗を植え替えてみよう。
    家人からはヒンシュクを買いそうだが、植木鉢はまた増えそうだ。


2023.12.27