川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                     桜草



    「可愛いね。ほんとに可愛いね」
    庭に出ると真っ先に声をかける。
    花はそれに応えるように、ますます元気に葉を茂らせ茎を伸ばす。

    桜草である。

    それにしても桜草はこんなにも強い花だったのか。
    吹きさらしの北向きの庭なのに、強風にも氷雨にも花びらを落とさない。萎れない。
    それどころか、厳寒のなかいよいよ色鮮やかに花数を増やす。
    小さな5枚の花弁にはスリットが入っていて、可憐だ。
    開花期は4月から5月だというのに、我が家は1月の中頃から花をつけた。

    まるで線香花火。
    まるで昭和の清純派女優。
    花言葉は、少年時代の希望・あこがれ・純潔とある。
    私は桜草の強さに憧れる。
    さしずめ真冬に咲く我が家の桜草は、「中高年時代の希望」だな。

    椿の他に好きな花が増えた。庭に桜草の鉢を増やそうと決めた。
    

   1月23日    2月10日


                 2022.2.10