川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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              作物って正直だなあ



    毎度毎度、ご近所に貰って頂くのも申し訳ないくらいに、採れたキュウリだった。
    毎日2本ずつ糠漬けキュウリを食べ、挙句は風呂に浮かべその香りと色を楽しんだ。
    ところがある日を境に、ぱたりと収穫が終わった。

    人間って勝手だ。
    あれほど持て余したのに、ナスではなく、キュウリの糠漬けが食べたくなった。
    あのシャキシャキとした食感、おろし生姜と胡麻を振りかけて食べるのが好みだ。

    漬物用だ、少々いびつなものでも大丈夫。
    ということで道の駅にお徳用キュウリを買いに行った。
   
    なんと最盛期にはビニール袋につめ放題で100円だったものが、2本で168円。
    それにキュウリの売り場はスカスカと寂しい限りである。
    お徳用キュウリが3袋残っている。四葉胡瓜と書かれているが、馴染みのないキュウリだ。
    なんでも中国生まれだとか。味も香りも濃厚で歯切れも良いらしい。
    くねくねと気味の悪いほど曲がっているが、漬物用だと我慢して買った。
   
    隣りの棚をみると、ピーマンが袋いっぱいに詰められて売られている。
    一時期のキュウリ状態だ。
    ああ、今はピーマンが最盛期なんだ……。
    そう言えば夫が、このところピーマンの調子がいいと喜んでいる。

    キュウリが終わって、プチトマトが終わって、ナスが採れてピーマンが採れて……
    微かな季節の移り変わりを野菜で知った。
    

2023.8.18