川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                    らんまん



    NHKの朝ドラの話ではない。
    春らんまん、らんまんの花、それも桜色らんまんなのだ。

    藤が見ごろを迎えたと聞き、葛井寺へ行った。
    コロナの規制が緩やかになったせいか、人出の多いのには驚かされる。みんな大手を振って
    外に出たかったのだ。まだまだマスクを着けている人が多いが、どの顔も晴れやかだ。
    微風に紫色の藤房がゆれ、香りが流れる。私は藤波の下に潜り、その香りを浴びる。
    
    白藤の見ごろは、もう少し先のようだ。
  
    仁王門の傍には観光ボランティアのブースがあり、拍子木の音と共に、
    紙芝居「とべとべルカ」が始まった。皆さん熱心にご覧になっている。
    紙芝居が終わり、私は子供が頂けるというお土産を貰った。大大人なのに。
    
    頂いたのは桜の花柄のストラップと、レース編みのコースター。


    今年の我が家の庭は不思議にピンクが多い。
    郷愁を誘う矢車草、新顔の百日草、そしてなぜか今年は鉢いっぱいに咲いたアザレア。
    すっくと伸びた矢車草は無垢で爽やかなピンク、
    別名ジニアというお洒落な名を持つ百日草は、なんとも可憐なコーラルピンク、
    細く折れそうな枝なのに、いのち一杯咲きましたとばかりのアザレアは、
    ショッキングピンクだ。
    なんて優しい色だろう、ピンクという色は。

    毎日そんな色を眺めているせいか、私がいただいたコースターは、
    柔らかな色が重なった、清楚にして優雅なピンク色だ。
    鬱々としていたココロが軽くなるような……。

    どうやら今年はピンクにはまりそうだ。
    


                 2023.4.16

境内の八重桜は
今が満開です