川上恵(沙羅けい)の芸術村
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           プロムナード



    石川の川原は贅沢な散歩道だ。
    紫色のプロムナードが延々と続く。
    そして紫色の下を、黄色の絨毯がびっしりと敷き詰める。なんと贅沢で綺麗なんだ。
    こんなにじっくりと春の川原を歩いたことがなかった。
    名前の知らない花がいっぱいだ。

    土手を覆いつくす紫色の花は、草、あるいはカラスノエンドウだと決めつけていた。
    が、「草という名の植物はありません」の言葉が思い出され、調べてみた。

    弱草藤・ナヨクサフジというらしい。
    逞しく石川じゅうを紫色に染めているのに、弱いというのも面白い。
    なるほど花は藤に似ていなくもない。

    それじゃあ、この黄色の植物の名前はなんだろう?
    どうやら米粒詰草・コメツブツメクサというらしい。なるほど。
    一人前に花言葉を持っていて、しかも、なんともそれが洒落ている。
    「小さな恋人」

    それじゃあ、それじゃ、水辺に咲いている水色の植物は?
    始めて見る花だ、よく見ると可憐な花が房状に咲いている。
    大川萵苣・オオカワジシャというそうだ。結構川辺ではポピュラーな植物だとか。
    花言葉は「向こう見ずな性格」とある。なんだか親近感がわくなあ。

    ちなみに弱草藤は「世渡り上手」。
    タンポポの花言葉は「愛の神託」だそうだが、綿毛も同じかな?

    私は誰から愛を告げられているのかな。
    それとも、風に乗ってどこかへ飛んでしまったかなあ……。

    野草にも花言葉があったのには感心しきりである。




               2020.5.6