川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                      親子丼



    今回、薬待ちの間に、私が薬局で買ったのは「親子丼」。
    子供の頃から親子丼は大好きだ。
    店屋で食べると、丼の蓋の上のくぼみに黄色い沢庵が2切れ乗っているのも、
    親子丼を美味しくしていた。
    目を引くパッケージに椅子を立つ。なになに、おいしく「カロリーコントロール」だと。
    さっそく手に取ってみる。
    塩分は1、8gで、100kcal.香り立つ鰹だしとふんわりたまご。
    電子レンジで1分20秒。
    ふむふむ。

    「何かお気に入りの物はありますか?」
    気づくと薬剤師が私の後ろに立っている。
    えっ、いつの間に。まるで忍者のようだなと思いながら、「親子丼」の箱を2つ手渡した。
    値段は1つ100円ほどだ。美味しいのだろうか?

    ある日の昼食で食べてみた。
    袋をあけてご飯の上にかけて驚いた。
    「これが親子丼? なんだか、おじやみたいだな。あるいは、あんかけうどんの具」
    玉ねぎや葱、そして鶏肉を玉子でとじた親子丼、とは似ても似つかない代物だ。
    「これって病人食やん!」
    そうか薬局で売っているのだから、病人食でいいのか。と私は妙に納得をした。
    100円でとてつもなく美味しいものを食べようと思う方が間違っているのだ。
    次回から薬局でのレトルト食品には手を出さないだろう。




                2021.4.20