川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
ホーム  エッセー  旅  たわごと    雑感 出版紹介 
                


                   おすすめの一冊  


 
 
 本を読む根気のなくなった、そこのアナタ
 目がショボついて読むのがつらくなった、アナタ
 何とはなしに遠ざかっている、アナタ

 そんな中高年にこそ絵本は最適。絵本をなめてはいけ
 ません。昔々の絵本とは、一味も二味も違います。

 私のお気に入りを紹介します。
 一場面だけですが……。
 「オニのサラリーマン・しゅっちょうは つらいよ」

 10月は神無月。神様はみんな出雲へお集り。
 出雲の空を神様たちが飛び交っています。
 そこへ箒に乗った魔女たちや、サンタクロースも。

 「おうい!ホウキにのって ごちゅうこうちゅうの 
 みなさぁん!
 このうえの そら、とおれまへんで!
 どこ いきはりまんのん? え? ブロッケン山? 
 そら、どっか よそのくにでっしゃろ。
 ここは 日本の 出雲でっせ」

 「もしもーし そこのソリにのった おじいさんも、
 いまは ここ つうこうきんしでっせ!
 なに? ちょっと はやく きすぎた?
 そんなら でなおしてもらわんと!」


 大笑いうけあいである。
 元気のないアナタ、どうかこの本で笑って下さい!
 それにしても大阪弁は、やっぱり最高や!
 
            



 もう一冊は純文学です。
 人食い虎になった友を描いた「山月記」でお馴染み
 の、中島敦 の「絵本・名人伝」です。

 名人とは、いかなる者か。考えさせられます。
 教えられます。
 絵本とは言え、原本を元にしているので、読みごたえ
 があります。

 中島 敦は私の大好きな作家、
 どうぞ秋の夜長を、しみじみと物語の世界に遊んで
 ください。