川上恵(沙羅けい)の芸術村 | ||||||||
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御敷(おしき) 2 さて、どの御敷を使おうかと考えたが、雲錦模様のを使うことにした。 雲錦とは桜と紅葉を描いた文様で、1年中使える優れモノだ。 気に入りのカップとグラスを並べてみる。 カップやグラスの値打ちがあがるようで、嬉しい。 久しぶりにインスタントではなく、コーヒーを点て、パンにはマーガリンではなく バターを塗った。 この時期、バターは固い。ひと手間かけて、バターを柔らかくする チーズも面倒がらずに、可愛い小皿に入れた。 ゆったりと丁寧にである。 どうやら道具によって、動作は変わるようだ。 うーん、なかなかいいではないか。 優雅で上品な人間になった錯覚におちいる。 あれっ、テーブルの上がゴチャゴチャとしているな、折角の御敷が台無しだ。 テーブルを片付ける。 うん、スッキリとした。整然としたテーブルに床しい御敷、いいなあ。 あれっ、部屋が雑然としているなあ……。あれっ、庭も……。 道具は場所を選ぶなあ。 ひょっとしたら、人も選ぶのかしらん。
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