川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                   御敷(おしき) 2



    さて、どの御敷を使おうかと考えたが、雲錦模様のを使うことにした。
    雲錦とは桜と紅葉を描いた文様で、1年中使える優れモノだ。

    気に入りのカップとグラスを並べてみる。
    カップやグラスの値打ちがあがるようで、嬉しい。
    久しぶりにインスタントではなく、コーヒーを点て、パンにはマーガリンではなく
    バターを塗った。
    この時期、バターは固い。ひと手間かけて、バターを柔らかくする
    チーズも面倒がらずに、可愛い小皿に入れた。
    ゆったりと丁寧にである。 どうやら道具によって、動作は変わるようだ。
    
    うーん、なかなかいいではないか。
    優雅で上品な人間になった錯覚におちいる。


    あれっ、テーブルの上がゴチャゴチャとしているな、折角の御敷が台無しだ。
    テーブルを片付ける。
    うん、スッキリとした。整然としたテーブルに床しい御敷、いいなあ。

    あれっ、部屋が雑然としているなあ……。あれっ、庭も……。

    道具は場所を選ぶなあ。
    ひょっとしたら、人も選ぶのかしらん。
  

 2022.2.22