川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                   大晦日



    今年も無事に終えることができた。
    1年を無事に過ごすことのいかに難しいかが、年々分かるようになった。
    感謝である。

    今日も例年のごとく、テレビを観ながら黒豆を煮たり、田づくりを作ったりしていた。
    昨年はたしか「探偵ナイトスクープ」を見ながらだった。
    今年も同じチャンネルをと思いながらも、リモコンの数字を順番に変えてみる。

    「ローマの休日」だ。
    何度も何度も見た映画なのに、なぜか今日はヘップバーンの清楚な美しさや、
    魅力的なグレコリーペックから目が離せない。
    大晦日の午後に、呑気にテレビ映画を観ている主婦などいないだろうと、少しの罪悪感を
    感じながらも、「まあ、いいか」と、腰を据えて観る事にした。
    ストーリーも台詞も覚えているのに、私は王女と新聞記者の世界に浸った。

    王女がローマを離れる最後のシーンでは、じんわり涙が滲んできた。
    そんな自分にちょっと驚き、いつ見ても感動する映画を名画というのだなと、再認識する。
    
    石油ストーブの上に置いた黒豆の鍋から、甘い香りが漂っている。
    1つ2つつまんでみる。ふっくらと上出来だ。
    今日はいい大晦日だ。


    今年も「話のポケット」をお読み頂き、有難うございました。
    どうか良いお年をお迎えくださいませ。
    来年もよろしくお願い致します。


                   2021.12.31