川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
エッセー  旅  たわごと    雑感 出版紹介 



              手に負えないよ 大型本



    趣味は読書だと自信を持って言えたのに……

    病気や怪我で外に出られないせいでもあったが、一日中寝床で本を読んでいるのが
    至福だった。
    だが最近、読書事情が変わってきた。
    読みたいのに読めないのだ。
    怪我で受けた目のダメージに加えて、老眼などの目の衰えが原因だろう。
    それに重い本を持つ指先の力も弱っている。

    それにしてもよく読んだものだ。

    たいていは図書館のお世話になるが、なかにはどうしても自分で持っておきたい本があり、
    知らないうちにそこそこに増えてしまった。
    1階や2階の本棚、あげくにはベッドの下にまで詰め込む有様だ。
    気に入って買った本や献本、そして自身の雑文の冊子などなど、捨てるに捨てられないもの
    ばかりだ。そしてそれらは、少しづつだが今も増え続ける。

    2、30年前になるだろうか。
    老後にゆっくりと楽しんで読もうと、清水の舞台から飛び降りるつもりで買った本がある。
    その内にそのうちにと、背表紙ばかり眺めていた。
    「いまは昔 むかしは今」という、画も美しい大型の本である。
    
    ところがである。
    今がそのゆっくりと読めるはずの時なのに、大型本はあまりにも重く、
    その上活字は小さく、本を取り出すにも難儀するしだいだ。
    無理をして読めば目は充血し、肩は凝り、あげくには歯が腫れる。

    若い頃は知らなかったのだ、老年になると読書が困難になることを。
    なんという若さのおごり、知らない事の多かった事か。

    これからの本の楽しみ方を工夫しなくてはなあ……。
    まずは指先の運動から始めるか。
    
                              ハードカバーの4倍の大きさです
    
    
                        2022,9,28