川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                お盆玉



   お年玉に対してお盆玉なるものが流行りだしたという。
   お盆に帰省した孫たちに、祖父母がお金をあげるらしい。

   お盆だから、お盆玉。
   捻りのないこのネーミング、もう少しなんとかならなかったのかと首を傾げるが、
   また1つイベントが増えたことは間違いない。

   面白いこと大好きな私は、このお遊びに参加したくて仕方がない。
   世間の人が体験していることは一応してみないと、置いてきぼりをくった気になる。
   さりとて孫はいない。
   私の長所は、ないものねだりをしないことである。
   そこで手っ取り早く、息子と嫁にお盆玉なるものを上げることにした。

   ポチ袋ならぬ、お盆玉袋も売られているという。
   どんなだろう? どんな絵柄が書かれているんだろう?
   近くの大手スーパーに行ってみたが、まだこの辺りまでは浸透していないのか、
   見つからなかった。
   仕方がないので、小さな無地のおため袋に朱色でお盆玉と書いた。

   今夜、息子たちと会食をする。
   彼たちはどんな顔をしてお盆玉を受け取るだろうか?
   「ほんまにお母ちゃんは、いちびりやなあ。でもこんな袋は大歓迎です!」
   喜び上手な息子はそう言うだろう。横で嫁も頷くだろう。
 
   喜ばせ好きな母に、喜び上手な息子である。




                                     2018.8.19