川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
エッセー  旅  たわごと    雑感 出版紹介 



                     3つの疎



     耳にタコができるぐらい、テレビでは3つの「密」について注意がなされている。
     密閉空間・密集場所・密接場面が感染のリスクが高いという。

     蜜の反対は「疎」。
     そこで私は3つの「疎」を心がけるようにしている。

     家から歩いて5分とかからない近さに、石川が流れている。
     大和川との合流地点辺りである。
     幸い、家の近くで30分程度の散歩は、外出自粛の対象にはならないそうだ。
  
     川原は、
     空が天井の解放空間だ。四方八方から風が吹き寄せる吹き抜ける。
     これ以上の換気はあるまい。「疎」である。
     出会う人はポツリポツリと、まばらだ。
     2mの間隔どころか、時によっては100m先にも人影は見えない。
     よほど有名な芸能人が来ない限り、川原が人で一杯になることはないだろう。
     「疎」である。
     それに残念ながら、人と密に接することも無くなった。
     喜んでいいのか、悲しんでいいのか、複雑ではある。「疎」である。

     3つの「疎」だ。
      
     そのうえ、家から歩いて1分の近さに桜並木が続いている。
     今年は貸し切りの夜桜を楽しんだ。
     豪華絢爛で妖しくて、昼間より花びらが冷たくて、雲間から霞んだ月が覗いていて、
     まさに春や春。密やかで贅沢な花見だった。

     当分は石川の散歩と、満開の桜・花吹雪・やがての葉桜を楽しもう。
     そして、コロナの話はこれっきりにしよう。なんだか気持ちが小さくなる。
     
     予測もしなかった事態に、世間はあわあわとしています。
     どうかくれぐれも気をつけてお過ごしください。

     
                     2020.4.4