川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                      耳飾り



    藤井寺駅から200mばかりの所に、観光案内所「ゆめぷらざ」がある。
    入り口には、悲劇の遣唐留学生「井真成」の石像が立ち、訪問客を迎えてくれる。
    館内では、古墳や神社仏閣、藤井寺市の物産を紹介している。
    特にお土産販売コーナーは、百舌鳥古市古墳群が世界遺産に登録されたので、
    「古墳グッズ」が多く並んでいて楽しい。

    「何、これ!」、思わず声が出た。
    イヤリングである。手に取って、しげしげと眺めた。
    「古墳」「勾玉」「埴輪」の文字が金色に光っている。
    どうして作られているのだろう、型抜きだろうか……。

    イヤリング大好き、それも揺れるイヤリングが大好きな私だが、これをつける勇気は
    ないなあ。
    それとも耳につけた途端、それは文字ではなく抽象的な文様に変わるのだろうか。
    片方の耳に「古」、もう片方には「墳」。
    あるいは「勾」と「玉」。あるいは「埴」と「輪」。
    金色の耳飾りが光の中で揺れている様を想像する。
    揺れる角度によって、文字になったり模様になったりと、様々な表情を見せる耳飾り。
    あんがい、いけるかもなあ……。

    もし着けるならどの文字がいいかなあと、暇な私は夢想しているのである。
    

  

                        2020.11.25