川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                    間に合うかなあ



    382、 312、 384、 248、 290
    呆れるほど少ない一日の歩数である。
    暑さのせいで体がだるくて仕方がないのだ。いやいや言い訳は見苦しい。
    毎日ゴロゴロしているせいで、体が浮腫み気味である。
    心臓のご機嫌もよろしくない。
    今月と来月、続けて検査があるというのに。これではきっと再検査だろうな。

    いまからでも間に合うだろうか……。

    という事で散歩をすることにした。
    「けど急に歩くのもしんどいなあ。そうだ、まず石川の河川敷をサイクリングしよう!」
    と、久し振りに電動自転車を出した。
    あれっ、なんだか重いなと、タイヤを押さえると、非力な私なのに簡単にタイヤがへこんだ。
    仕方がない、前と後ろのタイヤに空気をいれる。これだけで汗が吹き出した。

    久し振りのサイクリングだ。やる気は満々だ。
    電源のスイッチを入れる。
    「えっ、うそっ! そんな」 空の赤いランプが点滅している。
    自転車に乗るのをやめようか、どうしようかと迷ったが、初日の今日で放棄しては、
    きっと明日からは続かないと、ハンドルを握った。
    但し少ない電気は帰りの坂道で使うことにした。

    久し振りの川原は気持ちが良かった。
    やっぱり外は心が晴ればれするなあと、
    葦が繁り、はびこり、道幅の狭くなった見通しの悪いサイクルロードを
    ゆっくりと走る。夏草の青い匂いが充満している。
    電動なのに電動の用をなさない自転車は重い。
    だがこれも足の運動だと言い聞かせていると、遠くの方でゴロゴロと音が鳴っている
    南の空が暗い。雷だ。
    流石に川原で雷は気持ちが悪い、とハンドルを元来た方向に変えた。

    ついてないなあ……。
    こんな調子で、今月の検査日までに数値の改善は出来るのかなあ。
    間に合うのかなあ。
    よし、明日からは必ず5000歩あるこう!
    


              2022.9.4