川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                 黒豆を炊いている


  
    今年もコトコトと黒豆を炊いている。
    テレビからは恒例の「探偵ナイトスコープ」が流れている。
    去年も、おととしも、その前の年も、その前も……、ずっと同じことが続いている大晦日。
    甘い匂いが台所にいっぱいなのも、同じだ。
    この様子だと、きっと美味しく炊きあがるだろう。
    どれ、味見を。

    さて、
    今年の出来事を書こうと思い、過去の大晦日の「話のポケット」を読んでみた。
    笑ってしまった。
    去年も1昨年も、今年となんら代り映えのしない日々を過ごしているのだ。
    夫の怪我、救急車、短期の入院、そして私の不調……
    なになに?去年は犬歯の差し歯も外れているではないか。
    あわてて私は自分の口の中を点検する。どうやら今年は大丈夫なようだ。
    
    テレビからは、目の不自由な女の子の天使のような歌声が、黒豆の匂いの中を流れてくる。
    私は澄んだ歌声に聞き入った。
    
    今年も何とか例年通りの暮らしができたのだ。これで良しである。
    ふと、けっこう長く生きてきたのだと思った。
    

    今年も話のポケットをお読みいただき有難うございました。来年もよろしくお願い致します。
    
    
                     2025.12.31