川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
エッセー  旅  たわごと    雑感 出版紹介 



            言葉を伝える仕事



    テレビの台風情報で、気になって仕方のないことがある。
    
    毎回言われる、いまだ経験のしたことのない未曾有の大雨……
    直ちに命を守る行動を……

    どのチャンネルを回しても、キャスターは変わっても言葉は同じだ。
    オウムのように同じ言葉を繰り返す。
    どのようにすごい雨なのか、それを言葉で伝えるのがキャスターやアナウンサーの
    仕事ではあるまいか。
    もっと具体的な言葉で、分かりやすく伝えてほしいものだ。
    命を守る行動を! と繰り返えされるたび、高齢者はそれこそ命の縮まる思いがするだろう。
    家は平屋だし、この不自由な足で、傘を差し杖をついて、遠い避難場所まで行けと
    言うのかと。

    現場からの報告もお粗末だ。
    「道路には水たまりが出来ていて、街路樹が揺れています」
    画面は少し強めの雨の様子を映している。
    雨が降れば水たまりが出来るのは当たり前、風が吹けば木々が揺れるのは当たり前。
    素人が言うような事をプロが言うのは、如何なものか。
    
    最近のテレビは、まるで子供相手に喋っているようだなと思うのは、
    同じ言葉の繰り返しは、危機感を希薄にするのではあるまいかと思うのは、
    私が天邪鬼なせいだろうか。


    被害にあわれた方々にお見舞いを申し上げます。
    水害は本当に怖いです。

                   2019.10.13