川上恵(沙羅けい)の芸術村 | ||||||
エッセー | 旅 | たわごと | 雑感 | 出版紹介 | ||
故障かと思った! ウソッ! なんで? 買い換えたばかりなのに……。 最初は血圧計の故障かと思った。 だが、どうやらそうではないらしい。 血圧の高さを示す数字が、どんどん、どんどん上がり、気味が悪くなるほどだ。 深呼吸をして再度計るが、やはり数字は変わらない。 その日は一日中血圧を計っていた。何度計っても190を下らない。 腕を締め付けるカフで、上腕が痛くなってくる。 次の日も血圧は高いままだった。 三日目、さすがに、かかりつけ医に行った。 「何か心配事でも?」と医者は聞き、丁寧に診察をし、薬を変えてくれた。 私の高血圧歴は長い。 ここしばらくは落ち着いていたので油断をしていたら、 「私の事、忘れないでよ」と、久しぶりにすり寄ってきた。 それは悪女の深情けのごとく執拗である。 だがこの悪女のおかげで、私は自分のほどを知るのである。 無理のきかない体なのだと、納得させられるのである。 私の体が赤信号になる前の警告だ。 私は真剣にベッドで横になり、青信号になるのを待つ。 医者に行って一週間目、ようやく血圧は下がりだした。
|