川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                  故障かと思った!



    ウソッ! なんで? 買い換えたばかりなのに……。

    最初は血圧計の故障かと思った。
    だが、どうやらそうではないらしい。
    血圧の高さを示す数字が、どんどん、どんどん上がり、気味が悪くなるほどだ。
    深呼吸をして再度計るが、やはり数字は変わらない。
    その日は一日中血圧を計っていた。何度計っても190を下らない。
    腕を締め付けるカフで、上腕が痛くなってくる。
    次の日も血圧は高いままだった。

    三日目、さすがに、かかりつけ医に行った。
    「何か心配事でも?」と医者は聞き、丁寧に診察をし、薬を変えてくれた。
    
    私の高血圧歴は長い。
    ここしばらくは落ち着いていたので油断をしていたら、
    「私の事、忘れないでよ」と、久しぶりにすり寄ってきた。
    それは悪女の深情けのごとく執拗である。

    だがこの悪女のおかげで、私は自分のほどを知るのである。
    無理のきかない体なのだと、納得させられるのである。
    私の体が赤信号になる前の警告だ。
    私は真剣にベッドで横になり、青信号になるのを待つ。

    医者に行って一週間目、ようやく血圧は下がりだした。
    

2024.4.22