川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                  懲りもせず



    別にできなくてもどうと言うこともないが、指が曲がって、ピースやVサインが出来ない。
    折れかけた兎の耳のようなVサインで、不格好なことこの上ない。
    ああ、指の美しい人に憧れる……。
    
    指の美しい女性は清潔な感じがする。
    
    というわけで、
    懲りもせず、今回はハンドマッサージャーを買った。
    健康器具大好き人間である。それはもうオタクに近い。
    それらを購入すると健康になれる気がするのだ。
    狭い家には、古びて流行らない「針・灸・マッサージや」ほどの、細々とした健康器具が
    揃っている。
    最近まで酸素発生器なるものもあったが、さすがに捨てた。

    20cm弱のハンドマッサージャーは、小型のルンバのような形をしている。
    だが、
    手の平重点コース/ 指先までしっかりコース/ ヒーター機能/ となかなかの優れモノだ。
    本体に手を差し入れると、ほんわかと暖かく、もみ方も上手である。
    気持ちがよく、ウトウトとしてしまう。
    「そういえば、足裏のマッサージ器もあったなあ」

    何年かぶりに対面する足裏マッサージ器は、ずいぶん埃っぽいが、私はせっせと綺麗にした。
   
    そうだ邪魔者扱いにしていたヒーター付きのマッサージ椅子、あれに座って、
    テレビをみながら手と足の血流を増やそう。
    3台のマッサージ器にもんでもらうのだ、免疫力がぐっとアップするに違いない。
    血管内を白血球や赤血球が飛び交っている光景が頭に浮かぶ。
    器具を買っただけで、もう私は元気になった気がしている。
    真っ直な指でのVサインが目に浮かぶ。
    
    


                  2020.10.9