川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                  ここにきて



    「人は人、自分は自分」と、気散じに生きてきたのに、ここにきて「人」が気になり出した。
    正確には「人の健康が」である。

    私の周囲の女性たちは、不思議に皆、心身共に元気だ。パワフルである。
    類は類を呼ぶというのに、当たってないなあ。
    そんな彼女たちを見ていると、軟弱な私は少し焦ってしまうのだ。  
    その元気の素はどこから来るのだろうかと、人様と比べている自分がいる。  
    女々しくて嫌だなあ……。

    先日、いつものように耳鼻呼吸科へ治療に行った。
    先生が喉を診るなり、
    「風邪をひいてますね。薬を出しましょうか」
    「薬、あれこれと、いっぱい飲んでますので結構です」、私が断ると、
    「じゃあ、気力で治しますか」と、先生が珍しく冗談をおっしゃった。
    「はい、根性で治します」

    ここからが本題である。
    元気な女性たちを思い浮かべると、みんな筋肉(脂肪ではない)がしっかりしていることに
    気づいた。
    それに比べ、私の筋肉は情けない限りだ。
    私は今度こそ本気で、体力づくりを始めることにした。何度目の決心だろう。
    幸い、家には以前に買い込んだ、健康器具と運動器具がいっぱいある。
    より取り見取りだ。
    
    考えた末、ダンベル運動をすることにした。
    ユーチューブで正しい行い方を学び、500グラムの1番軽いダンベルで、左右10回ずつ
    行った。
    腕が張った気がするのは効いている証拠だろう。
    そのあと低周波治療器でメンテナンスもおまけした。
    
    「キャア〜、何これ!」
    次の日、右腕の付け根あたりが内出血をおこし、紫色が大きく広がっていた。痛みもある。
    「たった、これだけのことで……」、落ち込みようは並大抵ではない。
    何がいけなかったのだろうと、腕を冷やし続けた。
    
    悪循環である。
    一晩中冷やしたせいで鼻水が酷くなった。
    1週間先の耳鼻科の受診が思いやられる。
    「風邪ひき、ひどくなってますね」、そのとき私はなんと答えようか……。
    はあ、気力不足で、とでも言っておくか。

    健康志向はもう諦めた。
    人生100年時代、なんて言葉には踊らされない。(羨ましいけれど)
    自分の器以上のものを求めるのは、欲張りだということだろう。
    こうなったら私と同程度か、それ以下の体力気力の軟弱な友達をみつけるしかないなあ。
    これはなかなか難題だぞ。

                    2019.8.11