川上恵(沙羅けい)の芸術村 | ||||||||
エッセー | 旅 | たわごと | 雑感 | 出版紹介 | ||||
子供のころのように 気分が負のスパイラルに陥っている。 じめじめと、家の中も私の心も鬱陶しい。 ふと、傘を買おうと思った。 それも思いっきり雨の色の傘を。 水色と黒色、2本買った。 水色の傘は少々の雨では濡れないほどの大判だ。 黒は晴雨兼用だ。完全遮光、UVカットだそうだが、日傘など差したこともないのに、 かつて日焼け対策などしたこともないのに……成り行きである。 子供のころ、傘をさして雨の中を歩くのが好きだった。 紗のカーテンに閉じ込められたようで、なんだか別世界にいる気がした。 傘に響く雨音は面白かったし、クルクルと傘を回し飛沫を飛ばすのは楽しかった。 洋服が濡れてもちっとも気にならなかった。 洋服の裾が塗れるのが嫌になったのは、いつからだったろう。 たぶん、それが大人への入り口……。 雨が降り続いている。 水色の傘をさして外を歩いてみようか。
|