川上恵(沙羅けい)の芸術村 | |||||||
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近鉄特急16000系 大和川にかかる新大井橋を渡っている時だった。 鉄橋に響く列車の音に目をやった。 「えっ、なに! なんで?」。私は目をこすった。 なんとオレンジ色の近鉄特急が、大和川の上を走っているではないか。 こんな美しい光景に出会えるなんてと、乗り鉄の私は夢見心地だ。 道明寺駅方向からの列車は速度を落とし、一瞬、柏原南口駅で停車した。 一斉に高価そうなカメラを持った人たちが降車した。 そして撮影スポットに散り散りに走って向かった。 どれくらい時間が経っただろう。10分ぐらいかな? 今度は柏原から、折り返しで特急列車が道明寺駅に向かった。 どうやら、鉄道ファンのための特別貸し切り列車のようだ。 その間、いつもの見慣れた小豆色と白の6432系は走らなかった。 道明寺発着線は1線しかないのにと首を傾げたが、そうかと気づいた。 打ち捨てられたような引き込み線、道明寺4号線へ入線したのだ。 私の中で急に道明寺4号線の存在が大きくなった。 近鉄道明寺線は、藤井寺市の道明寺駅と柏原市の柏原を結ぶ約2,2qの単線である。 通常は2両編成のワンマン運転だ。時間にして5分もかからないが、近鉄線の中では 最古の路線である。空も川面も夕焼けで赤く染まった中を走る列車は、影絵のようで、 まるで映画のワンシンーンだ。
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