川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                 ジャガイモを植える



    節分が過ぎて、もう春がそこまでやって来ている。
    心なしか日差しが暖かい。こういう日は外が気持ちがいい。

    体調不良の夫に代わって、午後から、小さな畑にジャガイモを植えよう。
    そう言えば、一昨年も夫に代わって里芋を植えた。
    だが、収穫した芋は痩せていて、ゴリゴリと食べられたものではなかった。
    嫌な記憶が甦る。
    まあ、それはその時だ。

    午後の畑は太陽がいっぱいで、辺りを見渡しても誰もいない。
    ラッキー、と私はマスクをはずす。体は伸び伸びと、心は広々とする。
    畑を続けていて良かったなあと、つくづく思うのだ。
    自粛生活となって、持っていてよかったと思えるものが3つある。

    夫が車を手放さず持っていたこと。家の近くに狭いながらもマイ畑があること。
    そして私が、引きこもり的な性格も持ち合わせていたことだ。
    お陰で、友人達に比べて、籠りによるストレスは少ないようだ。

    太陽が私の上にも畑の畝にも降り注いでいる。独り占めだ!
    私は畝を深めに掘り、芽の出かけた種芋を埋める。肥料も与える。
    最後に優しく土をかぶせて作業の終わりだ。大仕事を終えたような充実感だ。
    
    横の畝には、10cmにも満たない豌豆の苗が、生糸のような緑の蔓を伸ばし始めている。
    明日は支柱を立ててあげよう。



    
                  2021.2.5