川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                直談判



    私の住む藤井寺市の名刹、葛井寺の南大門(仁王門)の大修理が行われている。
    寛政2年(1790)に手斧始めが行われ、寛政8年に棟があがった。
    224年を経た貴重な文化財である。

    滅多にない機会だと、知人の引率で修復現場を案内していただいた。
    ぐらつく足場の階段を想像していたが、なんのなんのしっかりとした足場である。
    高所恐怖症の私は恐る恐る足を踏み出し、手すりをしっかり握り上に昇る。
    木の天辺をこんなまじかで見たのは初めてだ。
    
    2階から3階と昇ってゆく。
    「わあ!」
    憤怒の形相の仁王像が足場のパイプの間に、どっしりと構えていた。
    こんなに近くで仁王さんと対峙するのは初めてだ。
    口をつぐみ目を見開いた気迫のこもった姿には、仏敵を寄せ付けない強さ頼もしさが
    溢れている。
    「私が困った時は、助けてね。約束ですよ」
    ちゃっかり私はパイプに挟まれた仁王さんに願い事をした。


    今日、心臓や頸動脈の検査をした。
    ところが思いもよらない箇所から不都合が見つかった。
    もういちど仁王さんと会って、直談判のやり直しをせねばならぬ。
    いまなら膝をつき合わせて、頼み事が出来るというものだ。

    見学御希望の方は荻野静雄さん迄ご連絡下さい。090−6373−4147
    但し4、5名のグループでお願い致します。


                             荻野氏 撮影

    南大門修理修復・阿弥陀三尊二十五菩薩像修復・阿弥陀堂再建
    令和の大改修は2025年に完成です。
    
    
            2020.9.12