川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                   地ビール



    「めえちゃん、久しぶりに飲まへん? 無理かなあ」
    従姉妹から電話がかかった。
    「ええよ。けど近間にしてね。この暑さで、ちょっとへばってるから」
    というわけで以前から気になっていた地ビールの店に行くことにした。

    道明寺天満宮の脇に、道明寺麦酒という最近造られたビール醸造所がある。
    近頃は地ビールと言わないで、クラフトビールと言うらしい。手づくりのビールの意だ。
    地ビールの方がなんとなくその土地柄を感じられて素敵だと思うのになあ……。
    何でもカタカナの時代だ。

    醸造所では4種類の「美陵ビール」が造られている。
    まずは一番癖のない「エール」を頂く。さっぱりとした口当たりで、のど越しもいい。
    店内からは広々とした裏庭が望まれ、屋外でも楽しめるようにテーブルが置かれている。
    私たちは取りとめもないことを喋りながら、ゆっくりとグラスを空にした。

    2杯目は黒ビールをと思ったが、あとの本番を考えて一杯で終えた。


    それにしても従姉妹は元気だ。
    そう言えば私の友人たちは揃いも揃って、みんな恐ろしく(?)元気だ。
    私のようにヘナヘナとした根性なしはいない。羨ましいなあ。
    そのパワーは何処から出てくるんだ、といつも感動すら覚える。
    類は友を呼ぶ、という諺がある。
    私の友人たちが集まれば、間違いなくその諺の正しさが証明されるだろう。

    余談だが、最近まで私は「類は類を呼ぶ」だと思い込んでいた。
    子供の頃は確か、みんなそう言っていた気がするのだけれど……。


2022.7.7