川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                   癒しの個展



    Nさんの個展に伺った。
    自宅の1階をアトリエにされていて、なんとも趣のある展示会場である。
    ドアを開け室内に1歩足を踏み入れるや、迎えてくれる蜂蜜色の灯り。
    「わあ、素敵!」。一緒に行った友人達が目を輝かせた。

    Nさんが20年間に制作された作品たちである。
    和紙あかり35点、和紙人形35点、水墨画10点、そして陶芸の数々が、並べられている。
    海遊館に展示されたり、病院に寄贈されたりもしたそうだ。
    針金を芯に和紙を張った灯りは、なんとも暖かく心和ませてくれる。
    なんだか優しくなれそうなそんな灯り……。

    駒子人形と呼ばれる和紙の人形は細やかで、着ている衣装も時代考証がなされ、
    感心しきりである。壁には水墨画が飾られ、Nさんの多才さに感心をする。
    その上に陶芸である。茶碗に皿に花瓶に小さな人形まで、見ていて飽きることがない。

    「好きなカップを選んでください」と、コーヒーをご馳走になる。
    私は赤い小花模様のカップを手にした。心が華やぐ。
    穏やかな癒される空間で、素敵な作品たちを眺めながら頂くお茶はこの上もなく贅沢だ。
    なんどでもお邪魔したくなる個展である




                  2023.2.25