川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                 蓮の呟き


   甕やバケツ6鉢に蓮を植えた。
   土や肥料、水の加減や日当たり、すべて同じ条件である。
   ところが、2つの鉢は花を咲かせ、4鉢は音沙汰がない。

   白の真如蓮は花を3つも咲かせ、今も2つの蕾をつけている。
   ピンク色の蓮も2つ、蕾をつけ、明日ぐらいは開花するだろう。

   なのに、どうして?
   他の4鉢は、葉ばかりで蕾をつける気配もない。
   それとも、奥手の子たちだろうか。

   綺麗な花を咲かせる仲間を見て、咲かない子たちは何を思うのだろう。
   「私の分まで頑張ってね」だろうか。
   「どうしたんだろう、どうして私は咲けないんだろう」という、戸惑いだろうか。
   「貴女は貴女、私は私。来年は咲くわ」だろうか。
   それとも、
   「眠りすぎてしまったわ。ちょっと遅くなるけれど、今から咲く準備をするから待っててね」
かも知れない。

   西側のベランダでは、コソコソと蓮たちが呟いているようだ。
   どれもがきっと、蓮たちの個性なのだ。





                       2018.7.18