川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                  日向ぼっこ



    さいきん日光浴をはじめた。
    骨量が少ないとやらで、医者から薬を処方され飲み続けていたが、検査の結果は
    思わしくない。効き目がないのなら服用していても意味がないと、医者に薬を断った。
    
    柔らかな冬の日差しが、南向きのベランダに降り注いでいる。
    ベランダは格好の物干し場だ。
    バスタオルやタオル、下着が、2本の竿とパラソルハンガーに満艦飾だ。
    私は洗濯ものを片方に寄せ、日向の場所を大きくする。
    椅子を持ち出し、帽子を目深にかぶり太陽に向かって座る。
    頭上には、たこ足に吊るされた靴下がぶら下がっていて、時おり帽子ごしに額をかすめる。

    温かいなあ、冬の日差しなのに……。

    「てのひらを太陽にすかしてみれば、まっかにもえる僕の血潮〜」
    ほんとだ! 
    掌がピンク色だ。“やなせたかし”さんはすごいな!いい歌だな。
    ついでに顔を太陽に向けて眼をとじる。
    瞼の奥が牡丹色に染まっている。
    「綺麗な色だなあ。私の体内の色だな」、独り言をもらす。
    
    そうこうしている内に、体がじんわりと暖かくなってくる。
    骨量も免疫力も増えているに違いない。プラス思考の私は信じて疑わない。
     
    洗濯ものと私の15分ばかりの日光浴である。
    太陽って有難いなあ、偉大だなあ。
    
    
                    2021.1.17