川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
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                   はったい粉



    突然、ナスかキュウリの漬物で、「はったい粉」入りの粥かお茶漬けが食べたくなった。
    聞き分けのない私は、思ったら待てしばしがない。
    さっそくスーパーへ行った。

    ところがである。
    大手のスーパーに「はったい粉」は見当たらない。もう1件のスーパーにもなかった。
    コンビニは言うまでもない。
    「はったい粉」はもう過去の食べ物、幻の食品になってしまったのだろうか……。
    だがないとなると余計に食べたくなるのが人情だ。いや、私だ。
    もう1軒だけと近所の小さなスーパーに行ってみた。

    ありました!

    ところがである。袋の表示には、お菓子づくりは 素材選びから、とあるではないか。
    袋の裏側に書かれたお召し上がり方を読んで、びっくりするやら寂しいやら。
    ☆ はったい粉にミルクと砂糖を加え、シリアルミルクとして飲む。
    ☆ はったい粉に卵と砂糖と水を加え、フライパンで焼いて焼き団子風にする。
    などなど、いつからお菓子の材料になったのだと、時代を感じる事はなはだしい。

    粥やお茶漬けに「はったい粉」をかけてサラサラと食べる、夏ならではの食べ方は
    どこへ行ってしまったのだ。正統派の食べ方は。
    せめて召し上がり方には、書いておくべきではないのか。

    「ああ、香ばしくって、おいしいなあ」
    私は怒りながら2杯目のお茶づけを食べている。
    

             2021.7.27