川上恵(沙羅けい)の芸術村 | ||||||||||||
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走る参道 清々しくて長い参道に魅せられてる。 所用があって神戸まで来た。 神戸の参道と言えば、絶対にここは外せないだろうと、西宮神社を訪ねた。 西宮神社と言えば、十日えびすの日に男たちが1位を競い走る神社、男の神社、 という認識しかなかったが、その広大さ、立派さ、美しさには驚いた。 西宮のえびす様は大阪湾の和田岬より出現された神様だそうだ。 西宮の漁師が神像を拾い上げ、ご神託により当地にお祀りしたのが始まりである。 平安時代後期のことであるらしい。 古くから漁業の神様として信仰されてきたが、やがて市が立ち、商売繁盛の神様として 西宮郷の銘酒と共に隆盛をきわめるようになった。 境内には馴染みの菰樽の数々が奉納されている。 1月10日、午前6時。表大門が開かれる。 門前に待ち構えた数千人の男たちが、本殿を目指して一斉に猛スピードで走り出す。 走り参りというらしい。 表門は通称赤門と呼ばれ、豊臣秀頼の寄進で国の重要文化財である。 赤門から本殿までは約230m。途中には2か所の急な曲がり角がある。 走り参りの難所である。 白い息を吐きながら、優美な本殿に到着した1番から3番の者は福男と認定される。 この福男の名称欲しさに、近年では5000人もの男たちが怪我をものともせず、 ただただ走るのだ。 真摯なその姿は純真で美しい。 走る門には福きたる 広い境内には神池や天然記念物のえびすの森など、時間を忘れそうである。 神社仏閣と言えば京都と奈良を思い浮かべがちが、目から鱗であった。 病院通いは嫌だけれど、神戸の周辺を知れるのも悪くない。
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