川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                      春告草



    桜ほどではないけれど、梅の開花にも心がソワソワ・ワクワクとする。
    花期が長いにもかかわらずである。
    厳しい冬の寒さに、春の気配がかすかにまじる頃、他の花々に先立って梅は咲く。
    春だ! もうすぐ春だ! 春がそこまで来ているのだと、私たちに教える。

    白梅、紅梅、八重、一重……。
    テレビからは和歌山のみなべ梅林の、枚岡梅林の、大阪城のと可憐な梅の花が画面
    いっぱいに広がる。
    なのに、
    私は血圧が異常に高くなり、近くの天満宮の梅花さえ見ていない。


    一週間後、母の墓参のために上ノ太子の叡福寺を訪れた。
    人気のない境内に白梅がひっそりと咲いている。
    「まあ、こんな所に。貴女が今年初めてみる梅の花よ。嬉しいなあ」
    凛とした美しさは、寒さを乗り越えたがゆえの強さからだろうか。
    顔を近づけてみると、透き通った気高い香りが鼻先に広がる。
    柔らかな日差しが、梅の木と私を包み込んでいる。
    春告草とはいいえて妙である。

    ふと足元をみると、何やら大きなドーナツ状のものが。
    なんだろう? どうやら松葉を積み上げたもののようだが、何のためだろう。
    それにしても不思議な光景である。




           2026.2.22