川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                春が来た!



    友人の畑で菜の花を摘ませてもらった。
    ひろーい畑に1畝だけ菜の花が植わっている。といっても80mはあるだろうか。
    まだ蕾の菜の花は、茎も葉も柔らかい。まるでシルクの手触りだ。
   
    無心に私は蕾を摘み続ける。なんだか少女になった気分だ。
    見る見るうちにビニール袋はいっぱいになった。
    私は袋の口をしっかり結び、春を閉じ込めた。
    芥子あえ、おひたし、天婦羅、漬物……、今夜の献立はどれにしようか。
 
    そして10本ほどは、生け花用に茎を長く折った。

    透明なガラスの花瓶に生けて、玄関の下駄箱の上に飾ったら、一挙に春の到来だ。
    毎日毎日、菜の花は驚くほど茎を伸ばし続けるだろう。
    その生命力の凄い事!
    可憐で、野暮ったくて、大好きな花だ。

    今日の空は真っ青で、日差しが心地いい。
    贅沢な時間って、こんなことを言うんだなあ。
    


            
               2020.2.12