川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                   花、その後



    観音竹が5月の末ごろに花をつけ、ピンクの花が金色になり緑になり、そして茶色っぽく
    なってきた。
    なんでも数十年に1度の珍しい幸運の花だとのこと。自分にとって良い事は信じる私だ。
    幸運の二文字は私を幸せにしてくれる。
    
    だが幸運は私にではなく、どうやら夫にやってきたようだ。
    病気や怪我続きだったのに、元気を取り戻しつつあるのだ。

    7月も半ばを過ぎ花期を終えた花は、小さな胡麻のようになり触れるとポロポロと
    零れだした。
    
    花の最期の姿が気になるなあ、このまま放っておいて観察しようか……。
    だがポロポロ零れる姿を見るのは辛い。
    花に種が入っている様子はない。
    しばらく考えたが切る事にした。
    切りながら、どうせ切るならもっと美しい間に切ればよかったなあ。綺麗で珍しい
    ドライフラワーができたのに。と、思い切りの悪い自分に苦笑である。

    切り取った花の名残は、玄関のガラス戸に吊るした。
    とうは経ってしまったが、幸運のドライフラワーだ。
    そうだ、「らんまん」にあやかって標本にしておくのもいいなあ。
    

2023.7.20