川上恵(沙羅けい)の芸術村
 話のポケット
エッセー  旅  たわごと    雑感 出版紹介 



                 ゴーヤ茶



    畑の作物がゴーヤ一色になった。
    植える場所が近かったのか、ゴーヤが畑の養分を全部吸い取って、
    毎年、取れすぎて困るキュウリや茄子が姿を消した。
    そのせいで、今年はキュウリ風呂に数えるくらいしか入れなかった。
    「ほんまに我の強い野菜やねえ」
    嫌味を言ってみるが相手に伝わる筈もなく、毎日採れるわ、採れるわ。

    正式名をツルレイシと言うらしい。

    ゴーヤチャンプルー、ゴーヤの佃煮、お浸し、炒め物、ゴーヤカレー……。
    思いつく限り、手を替え品を替え食したが、流石に飽きてきた。
    何人かの友人たちにも食べて貰っていたが、何度か配るうちに、流石にゴーヤゴーヤでは
    申し訳なくなってくる。
    だが酷暑のなか、採れ過ぎだとは言え、夫が汗まみれになりながら世話をしている
    ゴーヤである。
    無下に扱うわけにもいかず、ゴーヤ茶を作ることにした。

    ゴーヤのワタと種を取り、1ミリぐらいの厚さに切り、2、3日天日で干す。
    カラカラに乾いたゴーヤは驚くほど嵩が低くなっている。
    それをフライパンで茶色になるまで炒って出来上がりである。

    ゴーヤ茶の効能・栄養価は凄い。
    脂肪を燃焼させ、免疫力を高め、血糖値を下げる効果があるそうだ。
    それに生のゴーヤに比べ、カリウムは15倍、カルシウムは18倍、鉄分はなんと28倍にも
    増えるそうだ。いいことずくめである。
    それに、苦みもなくほうじ茶のような味わいである。

    「健康が一番やから」と、
    今度は生ではなくゴーヤ茶を息子や弟に押し付けた。
    2人は「有難う」も言わず、不承不承と言う感じでゴーヤ茶を受け取ったのである。
    あの様子では、あの2人、ゴーヤ茶を飲んでないのではあるまいか。
    お茶はペットボトルを買うものだと思っている節がある。
    
    タオルをぐっしょり濡らしながら、刻み、干し、炒ったお茶である。
    汗の結晶のゴーヤ茶である。


              2020.8.19