川上恵(沙羅けい)の芸術村
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                 恵比寿さまになった気分



    息子夫婦から、大きな、いきのいい鯛をもらった。
    去年、小さな鯛を貰ったのだが、あまり私がそれを気に入ったものだから、今年は大きなのを
    くれたのだ。

    小さな鯛はお腹を押すと、ピーピーと鳴いた。
    私は退屈をすると、鯛のお腹を押しピーピーと音を鳴らして遊んだ。
    そんなことをしている自分が可笑しくて、笑いがこみあげてくる。
    「お母ちゃん、えらい気に入ったみたいやな」
    と、今年は大きなのになった次第だ。

    今年の鯛は、お腹をおすと跳ね回るのである。
    それはもう勢いよく、ピョンピョンと畳の上を跳ね回る。
   
    何を隠そう、ワンちゃんの玩具である。
    玩具の手触りは滑らかだ。
    お腹のスイッチを押すと、鯛は腕の中でピチピチとはねる。

    私は犬並みか、とまた笑えて来るのである。
    但しこの遊びは、他人様のいないときに限る。

    
2024.12.26